国外関連者支配関係とFX取引者の移転価格税制

国外関連者支配関係とFX取引者の移転価格税制

国外関連者支配関係の基礎知識

国外関連者支配関係の要点
🏢
形式基準(株式保有)

50%以上の株式保有で国外関連者と判定

⚖️
実質基準(支配関係)

役員派遣や事業依存による実質的支配

💰
移転価格税制リスク

恣意的な価格操作による課税回避の防止

国外関連者の定義と支配関係の基本概念

国外関連者とは、外国法人で日本の法人との間に特殊の関係がある者を指します。この「特殊の関係」には、持株関係と実質的支配関係、またはこれらが連鎖する関係が含まれています。
特に重要なのは、形式基準実質基準の2つの判定方法です。形式基準では、50%以上の株式保有関係を基準とし、親子関係や兄弟関係を判定します。一方、実質基準では株式保有割合に関係なく、役員の派遣や事業の依存関係などによる実質的な支配関係を重視します。

国外関連者支配関係における株式保有基準

国外関連者の判定において、株式保有による形式基準は最も基本的な要素です。日本法人が外国法人の発行済株式等の50%以上を直接または間接に保有している場合、その外国法人は国外関連者に該当します。
この50%という基準は絶対的なものではありません。直接保有が40%であっても、間接保有が10%以上あれば合計50%以上となり、国外関連者に該当することになります。また、兄弟関係として、同一の者が2つの法人をそれぞれ50%以上保有している場合も国外関連者の関係が成立します。

国外関連者支配関係の実質的判定基準

実質基準による支配関係の判定では、株式保有割合に関係なく、実際の支配実態を重視します。主な判定要素として以下が挙げられます:

  • 役員派遣による支配:外国法人の代表者または役員の過半数を特定の日本企業から送り込んでいる場合
  • 取引依存関係:外国法人の売上のほとんどが特定の日本企業への売上である場合
  • 資金依存関係:外国法人の事業資金のほとんどを特定の日本企業からの借り入れでまかなっている場合

これらの実質基準は、形式基準で株式保有を49%に抑えつつも実質的に支配しているような関係性における移転価格の問題をカバーする重要な機能を持ちています。

国外関連者支配関係とFX取引の税務リスク

FX取引者にとって、国外関連者との支配関係は重要な税務リスクを伴います。海外FX業者を利用する場合、その業者との関係性によっては移転価格税制の適用対象となる可能性があります。
特に海外子会社や関連会社を通じてFX取引を行う場合、恣意的な価格操作による利益移転が疑われる可能性があります。国外関連者への寄付金についても、他の寄付金と異なり全額損金不算入となるため、取引価格の設定には細心の注意が必要です。
また、50%出資の合弁企業も移転価格税制の対象となるため、ちょうど50%の出資関係にある海外FX業者との取引についても十分な検証が求められます。

国外関連者支配関係における申告義務と実務対応

国外関連者との取引については、確定申告書の別表17(4)での報告義務があります。新しく出資した会社が国外関連者に該当するかどうか、株式の売却により国外関連者に該当しなくなったかどうかについて、その都度判定し別表に反映する必要があります。
FX取引者の実務対応として重要なのは、取引の交渉過程を書面で残しておくことです。特に合弁企業と取引する場合、価格をコントロールできない状況の証拠として、調査の際の考慮材料となります。
国税庁の国外関連者に関する詳細な定義と解説
また、みなし国外関連取引についても理解が必要です。国外関連者との間に形式的に第三者を介在させることによる課税逃れを防ぐためのルールが設けられており、複雑な取引構造を構築する際には専門家への相談が推奨されます。